仁をもって義をなす 義によって仁を尽くす
内藤新宿を中心とし盤石を誇る新宿五者協定。そんな折、関西難波会松波組が関東進出を目論み五者協定に風穴を空けるのだった。内藤新宿は松波組に日和った木場一家を許すはずもなく一家の舎弟頭補佐である土岐零時が壊滅的な制裁を加える。しかし松波組も報復とばかりに鷲尾軍司率いる内藤新宿一家に対して牙を剥き襲い掛かってくるのだった。虚を突かれ、組織の王と幹部を失ってしまう内藤新宿一家は、舎弟頭である金丸友記が代行を務める非常事態に―。また、組織の統制もとれない軍司の葬儀の最中に、崩壊した木場一家の残党ら水戸が最後の足掻きとばかりに、軍司の実子である大河を誘拐するのだった。自らの身も心も一家に捧げ、その伝統と継承に誰よりも忠誠心を抱く零時は、一家に渦巻く不穏当な思惑を嗅ぎ分け、大河の救出へと向かうのだった。
他方、代行総長となった金丸は軍司に忠誠を尽くしつつも、過去のある出来事が心に引っ掛かっていたのだった。一家三百年の歴史の大転換期ともいうべきこの期をその機と捉えた金丸は、歴史の継承に隠された真実を知る唯一人でもあった。そして金丸は様々な思惑が交錯する中、ある男を呼び寄せるのだった。